デザイナー目線!制作が捗るデザイン依頼書の4つのコツ
はじめに
こんにちは。株式会社ventus クリエイティブディクレターの藤原奏人です。
ventusではクリエイティブ全般の制作・依頼・品質管理、採用や組織作りなどを担当しています。
個人としては、ロゴ、バナーや紙面などのグラフィックから、テレビCMなどの動画、Webデザインまで幅広く制作してきました。
https://www.resume.id/nekohitosan/works
弊社のメインの事業である電子トレカコレクションサービスでは、1コンテンツ*1につき年間約2000種類のトレカが販売・配布されており、社内での制作はもちろん、そのうちの3分の1ほどを制作会社に外注する形をとっています。
トレカのサンプルは以下からご覧いただけます(各動画内に登場する4枚がここで指しているトレカです)
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内製であれ外注であれ、デザインの依頼主は、いかにデザイナーが制作を進めやすい依頼書を渡せるかが成功の鍵となってきます。もしあなたが依頼主ではなくデザイナーであっても、これから紹介する内容を応用して依頼を理解することで、スムーズに制作を進められるでしょう。
今回は、デザイナーでありながら多くの制作依頼もしてきた私が、制作しやすい依頼書のコツをデザイナー目線でご紹介します!
最後に依頼書のサンプルも載せていますので、ぜひご一読ください。
- はじめに
- 制作が捗る依頼書のコツ① 目的と用途・仕様・納期が明記されている
- 制作が捗る依頼書のコツ② 多角的なムードボードが用意されている
- 制作が捗る依頼書のコツ③ NG例が載っている
- 制作が捗る依頼書のコツ④ 想像の余地が残されている
- 一緒にトレカを作る仲間を大募集!
制作が捗る依頼書のコツ① 目的と用途・仕様・納期が明記されている
「動画を依頼されたが、何秒に収めればいいのかわからない……」
「チラシのつもりが実はポスターで、文字が小さくて読めなかった……」
「初稿のつもりで出したら、最終締め切り日だった……」
デザイナーにとって、目的・用途・仕様・納期の4つは最も重要な事項です。不要なやりとりや、完成後に間違いが判明することがないように、依頼の段階でできる限り把握しておきましょう。
目的とは、その制作物がどのような人をターゲットにしていて、その人に何を伝えたいか、どのように行動してほしいかを指します。
用途は、その制作物の使い道(例:会場で手渡しする/Twitterに広告出稿する など)を指します。
この2項目が明らかにされていることで、デザイナーはより良いアイデアを考えることができます。
仕様とは、サイズやカラーモード、納品データの形式などを指します。
仕様に未確定の内容がある場合は、その旨を伝えてもらえれば、デザイナーは対処を考えながら制作を進行することができます(例:動画が15秒か30秒かまだ決まっていない→パートごとに分割して制作し、時間を調整できるように制作する)。
簡単に、代表的なメディアで必要な事項を列挙します。内容によってはこの限りではないので、参考程度にご覧ください。
印刷物
印刷物の場合は、仕様と印刷会社が決定していれば、その会社の入稿フォーマットを渡すことが一番手っ取り早いです。
- 用紙サイズ:A4 など
- 色数:片面1色/両面4色 など
- カラーモード:印刷物の場合は基本的にCMYK
- 加工の有無:折り加工 など
- 解像度(画像が入る場合):300ppi以上 など
Webバナー
- サイズ:970px × 90px など
- カラーモード:Webバナーの場合は基本的にRGB
動画
納期とは、制作物が依頼主の検収を経て完成とされるまでのスケジュールのことです。一般には修正作業などがあるため、最低でも初稿提出・修正稿提出・最終稿提出(納品)の3つの日程を決めておくと良いでしょう。また、依頼主が提出物を確認するための時間なども加味しましょう。
上述の事項に加えて、納品や請求の流れ、契約周りなども事前に打ち合わせておくと、デザイナーは制作そのものに専念することができます。
制作が捗る依頼書のコツ② 多角的なムードボードが用意されている
ムードボードとは、アイデアを伝えるために、成果物に印象の近い資料素材をコラージュしたもののことです。イラストや写真、文章にカラーパレット、音楽など、あらゆる角度から参考事例を用意し、まだ見ぬ成果物の輪郭をはっきりさせていきます。
ここを疎かにしてしまうと、依頼側の思い描いていたものと成果物にズレが生じてしまうため、できるだけ丁寧に用意しましょう。
例えば、クリスマスのポスターを1つ作るとしましょう。クリスマスと一口に言っても、様々な表現があります。
「可愛い?かっこいい?」「赤?白?緑?」「リアル?イラスト?」などなど、これ以外にも言葉では説明できないことが多くありますが、ムードボードを作成することでそのイメージをお互いにすり合わせることができます。
サンプルとして、ムードボードを1つ制作してみました。
掲載する文字情報などは割愛していますが、これだけでもおおよその方針が掴めるのではないでしょうか?
このムードボードについては、依頼側が用意するのではなく、デザイナーに作成を依頼してみてもいいでしょう。デザイナーは様々な資料を探す中で、新しいアイデアに出会えるかもしれません。
また、多くのジャンルの参考資料を掲載することで、1つの印象に引っ張られすぎずに、盗用につながる恐れを減らす事ができます。
制作が捗る依頼書のコツ③ NG例が載っている
②では、イメージに近いものを掲載したムードボードを作成しましたが、それと合わせてNG例も載せておくと、より作るべきものが見えてくるでしょう。
制作が捗る依頼書のコツ④ 想像の余地が残されている
ここまでは、イメージを明確にするためのムードボード作りについて紹介してきました。
ここからは更に踏み込んで、テキストの配置や大きさ、フォント、使用する素材などを全て指定していきましょう。
……となってくると、ものを創りたいデザイナーからすると、決して良い依頼書とは言えないかもしれません。作るものの全てが指定されている依頼では、その指示以上のものが成果物として完成することはないでしょう。もちろん、依頼主が確固たるイメージや構成を持っていて、それを具現化する手段としてデザイナーを起用するのであれば話は別です。
デザインの依頼で大切なことは、デザイナーがものを考え、創造力を発揮する余地が残されていることです。その制作物の目的や用途、ここだけは外せないというイメージの希望を依頼書としてまとめたら、あとは作る本人を「表現のプロ」として信頼して任せることが、最も良い成果物に繋がると私は考えています。
依頼の中に残された余地から、デザイナーは表現者として想像を膨らませ、依頼主をあっと言わせるようなアイデアを捻り出します。目的やイメージを明らかにした依頼であればあるほど、この余地から生まれるアイデアは、成果物を一段と素晴らしいものに化けさせることでしょう。ventusでは、制作者の皆様が自身のクリエイティビティを遺憾なく発揮できるような制作環境の整備に努めています。
▼今回作成したムードボードのサンプルはこちら
https://app.milanote.com/1MSZey1Cr9tr5I?p=BgSrpDQWbp2
弊社では参考事例を探す際は、主にhttps://www.pinterest.jp/を使用しています。また、ムードボードを組み込んだ依頼書の作成にはhttps://milanote.com/を活用しています。
一緒にトレカを作る仲間を大募集!
デザイナー目線から、制作が捗る依頼書のコツについてご紹介しました。デザインに従事していない方が依頼を書く際はもちろん、デザイナーの方もこの依頼の流れを自身の制作に応用することができると思います。
ventusのクリエイティブチームでは、デザイナーの皆さまが生き生きと制作に励めるように、今回紹介したデザイナー目線の依頼をはじめとして、さまざまな取り組みをしています。
私たちは年間約6000枚ものトレカを中心に様々なものを制作しています。そのどれもが日本を代表するコンテンツとの協業で、制作のしがいは満点。ありがたいことに、事業規模も日々拡大しています。
そんなコンテンツを更に盛り上げるために、ventusでは制作に心血を注げる仲間を大募集中! 気になった方は、ぜひお気軽に採用ページや各種採用媒体からご応募くださいませ。
*1:現在、プロ野球・埼玉西武ライオンズ、千葉ロッテマリーンズ、日本相撲協会という3つのスポーツコンテンツと協業しており、クリエイティブチームの行うトレカの制作数は実に年間約6000枚にも及びます。加えて、UI/UXや広報物などさまざまな制作を行っています。